マウさんとの別れ
その後、淡々とマウさんの送り出しを行いました。
マウさんの火葬は迷いましたが、未練が残るということもあり、お骨などは残さない市の火葬に依頼をしました。
マウさんの好きだったカリカリ、遊び道具、最後に使っていたクッションやブランケットなどを入れ、お花で飾りました。
箱の中のマウさんは綺麗な毛並みのままで、今まで全く眠れなかった反動で深く静かに眠っているだけのようでした。
何度も何度も頭を撫でて「ごめんなさい」「ありがとう」「ゆっくり休んでね」と声をかけました。
マウさんとのお別れ。
火葬場の職員さんにマウさんを引き渡し、去っていく職員さんとマウさんを見送りました。
見送りの際、自然と「行かないで」「行かないで」「行かないでマウさん」と嗚咽と共に声が出ました。
大の大人が、です。
哀しみがこんなに大きいとは知りませんでした。
職員さんとマウさんの姿が消え、しばらく車の中で泣きました。
しばらく後、「さようならマウさん」と呟いて火葬場を後にしました。
もしも、はない
マウさんとの別れは最悪の形でやってきました。
守るべき飼い主が、下僕が、ペットに引導を渡してしまったのです。
最期の日まで嫌な病院に通い、無理やり給餌をさせられ、それが元で亡くなってしまいました。
恐らくは、もともと余命僅かではあったでしょう。
それでも、この最期は残酷です。マウさんにとっても、下僕にとっても...
もし、始めの通院先を変えていれば?
もし、糖尿病のコントロールが上手くできていれば?
もし、早めに転院をしていれば?
もし、早めに緩和治療を望んでいれば?
もし、もし...
何も解決しないことはわかっています。
家族や知り合いは「それでも愛されて幸せだったと思うよ」と言います。
愛されたうえで最期に裏切られたマウさんは本当に幸せだったのでしょうか。
もう、下僕にもわかりません。返事をしてくれるマウさんはもういません。
しかし、泣いてばかりもいられません。
マウさんが亡くなった後、「虹の橋」の話を再確認しました。
マウさんは待たずに自分だけでも虹の橋を渡って幸せに暮らしてほしかったのですが、「雨降り地区」という話もあったようです。
飼い主が悲しんでばかりいるとその涙が降り注ぐ冷たい「雨降り地区」からペットは出ていけないというお話でした。
当然ただのお話です。虹の橋もただのお話です。
それでも、万一でもマウさんを再度苦しめることになるなら前を向かざる得ません。
今はマウさんの魂が安らかに過ごせることを祈るばかりです。
ありがとう さようなら マウさん いままでたのしかったよ
おわりに
ここまで素人のだらだらとした雑記をご覧いただき、ありがとうございました。
自身の気持ちの整理のため、愛猫との思い出を風化させないため、同じような飼い主様の判断の一助になれば、と思い、このブログをしたためました。
しかし、やはり治療の判断、引き際の判断などの後悔は残っています。
あなたのペットの終末に必要なのは、苦しくても闘って勝ち取る生きる時間でしょうか?
短くとも静かで穏やかな余生でしょうか?
たぶん両方とも間違っていないと思います。
ただ、どちらも「結果が望んだものにはならない」可能性があるだけです。
であるならば、過程を大事にしてあげてください。
最期が幸せであれ、不幸であれ、それまでの幸福の総量が大きければ、ペットは幸せだったと思います。
私とマウさんは、最後の1か月に治療ばかりで互いに消耗していました。
必要だったのは静かに別れを準備する時間だったはずです。
ペットと、家族と共に過ごす時間を大切にしてあげてください。
悔いのないように引き際を誤らないでください。
これにてマウさんと下僕の闘病日誌は終話となります。
飼い主様とその愛されるペットたちに幸運があらんことを。
ありがとうございました。
下僕)S.K