最期の6日間

12月10日

カテーテル留置後の翌日。
給餌が大分楽になったため、摂取カロリーの増加を目指すことに。
カロリーエース+は90kcal/100gで1缶85gのため、1缶を飲ませ、残りはシリンジで高たんぱくのムース状の餌を食べてもらうことにしました。

ムース状の餌は1/3くらいこぼしてしまいましたが摂取カロリーとしては100kcalを超えたため一安心。だんだん増やしていきたいと思いました(結果的にはシリンジ給餌はこの数日後に中止)。

マウさんは今日も寝床や床に座って気だるげに過ごしていました。
なお、抗がん剤かカロリーエースのせいか、うんちが黄土色の軟便状になってました。

上空写真 痩せているが腹水のためお腹周りが膨らんでいる

12月11日

今日もあまり変わらず。気だるげ。
相変わらず薄目を開けて中空を睨んでいました。痛みで寝れないのか、痛み止めを貰ってくればよかったかと少し後悔しました。
また、この日の夜は寒かったのか、久々に布団の中に潜り込みに来てくれました。
これが、最後だとわかっていたら...

経鼻チューブに引っ張られててちょっと辛そう

12月12日

経鼻チューブの給餌後、マウさんが少しムセました。
幸い、その後の陰圧チェックや水の流し込みでは問題がなかったのでチューブ先端が戻ったり、気道に入ったことはなさそうです。

また、マウさん用ベッドに入らず、クッションや床で香箱座りをすることが多くなり始めました。
これは後で知りましたが、自身の体温が低くなったため、暖かい場所を避け始めた影響のようでした。
また、歩き方も力がなく、少し歩いては止まり、また歩き出して...とフラフラな状態。
うんちも黄土色のままでしたが、少し固形化していたため、少し安心しました。


しかし、マウさんの体力は急速に、確実に奪われていったのです。

暫定ベッドのクッション

12月13日

今日は風もなく、よく晴れた日でした。
下僕はマウさんをよく家の前で(監視付きで)散歩させていたのですが、体調から考えると回復しない限りはもう機会がないと考え、抱っこして少しお散歩に。


周りの景色を下僕の肩越しに一望させた後、そっと地面に降ろしてあげました。
いつもはアスファルト横の草木に興味を示して匂いを嗅ぐマウさんでしたが、やはり動くだけの元気もないのか、そのまま座り込んでしまいました。
静かに抱き上げて自宅に帰りました。
マウさんは好きだった外の景色をしっかり見ることができたんでしょうか。


また、ここ数日おしっこが出ていないことに気付きました。
身体が浮腫んでいる気もするため、早めに病院に連れていく必要があるようです。

帰宅 お疲れのご様子

12月14日

この日、マウさんの様子が大分おかしくなっていました。
瞳孔が暗めな部屋でも開いたままになり、眼が大分虚ろです。
足腰が立たず、立ち上がりの時などに酷くよろけるようになりました。
首に力が入らないのか、重たそうに頭がうなだれていました。
ただ、呼吸方法や呼吸回数(40前後)に異常は見られませんでした。

経鼻からの給餌もよく逃げるようになり、少し苦しそうでした。
流動食を飲ませたあとに口をクチャクチャとしていました(後で重要)。
また、ようやくおしっこも出ましたが、トイレではできずに失禁しました。
その後、下僕のベッド下に隠れて出てこなくなりました。

この日はH動物病院は定休日なので、明日早めに連れていく必要がありました。

12月15日

前日から症状は変わらず。
ずっと目を開けたまま、うなだれて中空をぼんやり見つめていました。
もう何日ちゃんと眠っていないのだろうか。痛み(?)だけでもなんとかならないかと
そんな思いのまま、H動物病院へ向かいました。
なお、鳴こうとしていたのか別の異音だったのか、耳を澄ますと小さくキューキューと鳴いていました。

最後の写真 力なくうなだれ苦しそうな状態でした

H動物病院ではまず体重チェックを行いました。
体重は若干増えていましたが、今思えば単に浮腫と腹水のせいだったと思います。
経鼻チューブからの給餌に口を動かすような仕草をすることから、チューブの挿管に問題がないか、肺に問題がないかも確認をお願いしました。
当然、咳き込みもなく、肺付近の打診も問題がなかったため、チューブの問題は除外されました。


しかし、マウさんの生命維持に必要な体力は既に限界に達していました。
それでも現実を見ない愚かな下僕は、このとき先生に鎮痛剤を希望しました。
痛みさえ緩和できれば、十分に眠り、体力回復の一因となるはずだ、と。

 

違ったのです
このとき、緩和治療への覚悟を決めるべきだったのです

 

明らかにマウさんの命は消えかけていました。
「もう...身体は持ちませんか」との問いとその返答が怖かったのです。
万一の奇跡に縋ってしまいました。

この時、私はマウさんの延命を諦めるべきだったのでしょう。
苦痛を取り除き、残り数日間だとしても静かな最期を送らせるべきだったのでしょう。
その結果、惨い最期を迎えてしまいました。